讃岐うどん、ってみんな言えばいいのにね

製麺所のドア

ただのドアじゃないかって?いやー、ただのドアに見えるようになるまでに、けっこう苦労したんです。早く看板あげたい!

少し前、10年から5年ぐらい前からかな?それまで讃岐うどん、って言ってたうどん屋さんが突然讃岐を名乗るのをやめる、ということが続いたことがある。

全国生めん類公正取引協議会ってところで決められた規約 ― さぬきうどんの名称を使うのには「香川県内で製造された麺」という基準を満たさなきゃいけない、というのが大きいのかな、とは思う。
ただそれも、あくまで特産、本場、名物、とかそういう表示をするときの基準で、香川県以外で作られたものをさぬきうどんって言っちゃいけない、と決まってるわけじゃない。 続きを読む

買ったものと作ったもの

何かを買いたいな、というとき、僕は「そこまでする?」っていうぐらいにカタログやら製品サイトやらブログやら、を読み込んだり、売り場で実際にモノを見に何度も出かけたり、といった行動をしたうえで購入することが多い。

自分が気に入りそうなものを置いてそうな店へ出かけて、その場でぱっと買いたいものが眼に飛び込んでくる、なんて経験はほとんどしたことがない。 続きを読む

小麦は讃岐三白の一つ?

なにかの拍子で「讃岐三白」のことを口にして、何だと思う?って尋ねると、えーとまず小麦でしょ!って反応が返ってくることも多い。讃岐うどんから想像しちゃうよね。残念ながら小麦は入っていなくって。

讃岐三白は、塩、砂糖、綿。

塩は、坂出市の塩田を筆頭に国内随一の生産量だったはずだけど、入り浜式塩田に適してた平坦な臨海地はもう工業地帯として開発されて、ノスタルジックな塩づくりの風景は、もう資料館としてしか残ってないんじゃないかな。あ、もちろん工業的な塩の生産はまだまだたくさん行われてるはずだけど。

綿については、おそらく西讃地方が中心だったんだと思う、綿花の栽培されているシーンを僕はほとんど覚えてない。

 

僕に一番なじみがあるのは砂糖。さとうきびとか製品としての和三盆とかかな。現在の栽培量はかなり限られているはずだけど、子どもの頃、おやつが30センチぐらいの長さにカットされたさとうきびだったこともあった。

なぜかそこだけよく覚えてるんだけど、いつも母親が買い物をするスーパーの棚の上には、棚に入らない細長い寒天の元(あれはなんて言うんだろう、断面3~4センチの四角形で長さが数十センチの…テングサなんだろうけど)が置かれていた。

さとうきびのシーズンには、その横におなじぐらいの長さにカットされたさとうきびが並ぶ。母親はそれを2本買ってきて、おやつとして渡すわけだ。表面の薄皮を歯ではぎ取ったあと、僕はそれを噛みしめて甘い汁を吸う。

あのさとうきびは、何に使うものだったのかな?一般家庭で糖蜜を取るとは思えないから、やっぱりおやつとして売ってたんだろうか。

そういえば、一度タイにいったとき、象がご褒美として同じような長さのさとうきびを10本ぐらいまとめたのを与えられているのを見て、あぁ、美味しそうだな、って眺めてたのを覚えてる。

 

さとうきびも、今は栽培量はかなり少ないはずだけど、それを原料として作られた和三盆は、有名になったようだ。
美味しんぼにも掲載されて有名になったのはばいこう堂。大阪にも店舗があって、イリコスキー製麺所から徒歩圏内にある。地元のお菓子ということもあって時々使わせてもらってる。
ただ、僕になじみが深いのは三谷精糖。実家でお遣いものにするときはここの商品だったし、卒業した高校の記念品とかもここのを使ってた記憶がある。

 

…と、讃岐三白っていっても実体験としてなじみが深いのは一つだけだな、と思ったら、東讃(香川県東部)の砂糖、西讃の綿、中讃(その間)の塩、三地域の特産品をピックアップしたから三白なんだね。あぁ。今ごろ気づいたよ。

文化麵類学ことはじめ

文化麵類学ことはじめ

手元にあるのはなぜか1991年の初版本。「麺の文化史」よりもこちらの方がカラー写真が多いはずです。

文化麺類学ことはじめ。著者は石毛直道先生。食いしん坊の文化人類学者、というご紹介でいいのかな。出版社はフーディアム・コミュニケーション。

日清食品の季刊誌に連載されていたものを書籍としてまとめられたのだと記憶してる。内容からいっても、まさに日清食品×国立民族学博物館という印象の書籍。

大学に行く前、文化人類学者になりたいなぁ、って興味を持っていて…いや、勉強しなかった人間がそういう言い方をするのはおこがましいな。文化人類学者ってかっこいいなぁ、って思ってた。僕の世代には、そういうの多かったんじゃないかな。

そういう気持ちを持っていてさらに麺好き、となるとこの書名を見ただけできっと買っちゃう。もちろん書名だけじゃなくて内容もさすがは石毛先生、世界中の麺類の発祥と文化を網羅してる。書籍にするには限りがあるから、ということで泣くなく掲載できなかったものもあるようだけど、圧倒的なボリュームだ。

「ことはじめ」という書名をつけるだけあって推論だったりちょっと強引?という部分も大いにあるけれど、めくるめく麺ワールド、という雰囲気。麺っていったい何だ?麺の起源は?世界の麺の製造法や調理法、などなど。

ただ残念ながら、うどんについてはほとんど触れられない。日本の麺についても一章割かれてはいるけれど、ほぼそうめんと蕎麦という印象だったかな。そうめんは練った小麦粉を引き延ばす形態の麺、蕎麦は切り麺の出現としての言及。
麺類全般好きだけど、うどんが特に好き、という人間にとってはちょっと寂しいけれど、日本の麺の起源と文化を探るというこの書籍の立ち位置からするとこうなるのかな。

この書籍、現在は絶版になっていて、講談社学術文庫から「麺の文化史(リンクはアマゾンアソシエイト)」として発売されているようだ。続編もあった気がするのだけれど、よく覚えてない。
読み物としておもしろいか、って言われるとちょっと疑問なところはあるけれど麺の世界に興味がある人には楽しめるはず。

立川談春さんを聴く

さとうしんいち氏の案内に誘われて、今日は森ノ宮ピロティホールへ。

落語はとても久しぶり、3年ほど前に繁昌亭へ行って以来かな。というよりそもそも、落語を聴きに行く習慣はあまりない。東京にいたころは今よりは聴いていた記憶があるけれど、大阪では行ってないなぁ。

落語との関わりは、小学生の時に講談社文庫の「古典落語」シリーズを全部読んだぐらいで(わかってたのかどうかはかなり疑問だ)、そんなに深くはない。大学時代の友人に落研が何人かいたので彼らの高座は何度かのぞかせてもらったことはあったよね。

今日かけられたのは、かぼちゃ屋、小猿七之助、景清。
談春さん、一度は聴いてみたい、と思っていたところをしんいち氏の案内に見事に後押しされて行く気になったわけで、うん、行って良かったね。

1,000人入る大きなホール、席は後ろよりだったけれども見事に引きずりこまれる。他のお客さんの笑い声が大きく響いてる中で、どんどん談春さんの姿が視界の中で大きくなっていく。落語のうまいへたを僕は云々できないけれど、ああ、やっぱり談春さんはいいな、すごいな、って。

その中でもやっぱり景清はよかったね。話は知ってたけど高座で聴くのは初めて。聴いてるうちに涙がじわじわと(いや、もちろん僕も笑ってた)。自分と親の関係を思い出しつつ、泣く人は多いだろうな。

小さく、シンプルなのが好き

唐突だけど、小さいものが好きだ。小さくてシンプルで、何かに特化しているもの(あるいは、マッチョじゃないもの、かもしれない)。何かをすることに特化して余計な機能をそぎ落としたものが好き。
だれかに、「日本人には多いよね」って言われたことがある気もするけど、そうなんだろうか。

ただ、小さいものも集まると山になってくる。だから、小さいものをいれておく大きなハコや器が必要になってきたりとかね。

基本的にいろんなものやコトに執着するタイプだから、いったん手に入れたものは手放すのにとてもエネルギーがいる。シンプルにいたい、という欲望はあるんだけどな。あぁ、僕を知ってる人は、「ほんとに?」って思うかもしれないけど、これはほんと。あ、それともこれは「憧れ」なのかな?

だけど、手放せないおかげでだんだん生活がシンプルじゃなくなってくる。まあそういう欲望は、実際そうはできないから、かもしれない。

いま製麺所を作りかけて、いまはすごくすっきりしてる。モノがなにもないからあたりまえ。
この場所はウェブ屋の仕事場や自宅とは違う、the third placeっていう感じで、できるだけすっきりした空間でおいておきたい、って今は思ってるんだけど、さて、いつまでつづくんだろな。

床貼り、(ほぼ)完了

オフィスの床、完成

床がぜんぶできると気分が変わります。しかし、デジカメは実物の2倍はキレイに写りますね。

なんだかんだとトラブルもあったけれど、なんとかオフィス部分の床貼りが完了。
もちろん(?)製麺所部分と同様、フローリングの部材同士でスキマがあいちゃったり、床に密着せずにちょっと浮いてしまってたり、と素人工事の跡もあるけれど。

なにせここの床、製麺所部分の床を作ってもらったときに三木さんも言っていたんだけど、デコボコがすごい。
最大で上下1cmはずれてるんじゃないの?って。そこをごまかしごまかし、よくやったもんた。

それはともかく、真っ白の製麺所と、ウォールナット系の深いブラウンのオフィスと、コントラストが良い感じ。これはさらにテンションあがるな。この色を選んで正解。

あ~、できた~!って床に転がってたら、いつの間にか寝入ってた。天井のペンキ塗りより、疲れた…

これでDIYの半分はようやく超えた、って気分。まだまだ細かいところもあるけれど。
壁紙を張り終えたら、きっと見違えるよね。

昔も、改装。

露出があってませんね。

露出があってませんね。犯人じゃありません。山下ですw

製麺所のDIYは手を付けたり休んだり、まだ完成にはほど遠いんだけど、あ、そういえば。と思い出して、こんな写真を引っ張り出してきた。

勤めてた会社をやめて、フリーランスになったとき。
自宅で仕事をすることにして、空いてる部屋を仕事部屋に改装しよう、の図。

空いてる部屋?
そう、築30年だか40年だかの家を買って入ったその集落の中では、「完成してしまうと固定資産税が高くなる」とかで、どの家にもそういうできあがっていない部屋があった。我が家もそうだった。

 

改装前

改装前。こうしてみると、わりとまともな部屋だったんだ…

天井は貼ってあったので和室になるはずだったんだな、とわかったけど、畳も当然入ってないし、壁もきわめてテキトーな塗り方。

とても普通には使えないので、物置部屋になってたんだけど、これを改装して仕事部屋にしよう、と。

このころはホームセンターに通うのが楽しくて(今もだけど)、大工道具も一通り持ってた。

 

改装後

改装後。パソコンがたくさんあるなー。VAIO505Xとアラジンの石油ストーブがお気に入りでした。あと、初めて自分で買ったMac – LC745とか。

今の製麺所のDIYと違うのは、この部屋はきっちり長方形だった、ってことかな。でこぼこがたくさんあったり、排水口があったり、そもそも角が直角じゃないところばっかり、という製麺所と比べるとそりゃカンタンだったよね。

あれがえらくスムーズにできたから、ちょっと余計な自信を持っちゃったのかな。

そういえば当時は、ISDNでのデータ通信が毎月定額になるサービスが始まって、自宅で使えるようになるのが待ち遠しかったなぁ。

 

比良山

おまけ。仕事部屋の窓からは、比良山が見えました。雪の比良山はきれいです。

しかしあれだな。10年以上経ってもおんなじことやってる、と。

目覚ましに、休憩に、僕はコーヒー。

パンプキンの豆

これがパンプキンの豆。浅煎りのもあるようなんだけど、僕は深煎りが好きかな。

コーヒーマニア、というわけでもなく、中毒というほどに習慣化してるんでもないけれど。
朝仕事にかかる前、お昼の後、休憩時、コーヒーがないとなんだか物足りない感じで落ち着かない。

いいコーヒーばかり飲んでるわけでもなくって、いつもの事務所で飲むのはもっぱらマクド。マクドのコーヒーっていいよね。手軽に飲めて高くない。まぁ、僕の場合はマクドが事務所のすぐそばにある、ってのが大きいな。

フリーランスだったころは、自宅の一部屋を仕事場にしてたこともあって、ちょっと時間ができたら、仕事に行き詰まったら、いつもコーヒーを飲んでた。いろんな豆と、挽き具合と、ドリッパーもあれこれ試して。でも結局、なんだかなー、結局コーヒーメーカーで入れるのが一番おいしいのかな?とか思ってた。

 

最近自宅で飲んでるのはパンプキンのコーヒー。あ、自分で買うんじゃなくって、人からもらうんだけど…
ここの豆をペーパードリップで入れたとき、あぁ、豆ってほんとにこんなに膨らむんだ!って感動。喫茶店できれいに膨らむ豆を見て、あんなふうに淹れられればいいなぁ、って思ってたけど、自分でやってもこれだけ膨らんだのははじめて。鮮度なのかな?苦みと酸味と渋みのバランスも、今、大好きなコーヒー。

 

今日は仕事途中に散歩に出かけて、製麺所近くの喫茶店へ。構えがきれいだしお客さんいなさそう、っていうところを見つけて。ちょっと考え事したかったから静かなところがいいな、と思って入ったら、誰もいなかったお客さんが僕のあとに入ってきてお店の人とずっとおしゃべり。あ、ここはこういう店なんだ…
グアテマラはおいしかったんだけど、今日いきたいお店じゃなかったな。残念。ま、僕のかってなんだけどね。

ボーメ計

ボーメ計

何の濃度を測るのか、そして測る濃度の範囲によって、いろんなボーメ計があります。僕が使ってるのはもちろん塩ボーメ、0~35ボーメまで。

僕がうどん打ちに使う道具で「測る」のに使うのは、秤、メジャーカップ、それとこのボーメ計。塩分濃度を測る比重計だ。
製麺以外だと、熱帯魚の水槽に入れる水の塩分濃度を測るのにもつかうみたい。

釣りで使う浮きのような形をしていて、空洞のガラス管の下部には鉛のおもり、管の部分には目盛りがついてる。それを使おうとする塩水に浮かべて濃度を測る。

うどんの麺は、小麦粉と塩水でできる、きわめてシンプルなもので、麺の出来は、気温・湿度とそれに対する塩水の濃度と量で大きく左右される。気温も湿度も低い冬は塩分濃度は低く塩水は多めに。逆に高い夏場は濃度を高め、塩水は少なめにする、というのがセオリー。

塩水の濃さは、質量濃度を使ってあらわす。100gの塩水の中に塩が10g入っていたら、それが10ボーメ度。

ボーメの使用方法

斜め上から撮ったので微妙ですが、12ボーメ、ってところでしょうか。

ただし実のところ、10gの塩を90gの水に溶かしても、必ずしも10の目盛りにはならない。塩に含まれてる水分とか、塩化ナトリウム以外の成分とかそんなものでも、ボーメ度とはずれがでてくるんだろうな、と思ってる。

なので基本的には、大きく濃度を外してないか確認するとか、そういう使い方にはなってしまうんだけど。

ところで、「ボーメ」って、フランスの化学者の名前なんだそうだ(アントワーヌ・ボーメ:Antoine Baumé)。単位に名前がついてるぐらいだから、偉い人なんだろうな。

棒に目盛りを切ったもので測る、棒目=ボーメ、なんてわかりやすい名前を…って長いこと思ってたのは内緒。