水回しと手合わせ
うどん粉は香川県の製粉所の小麦粉を使っています。これに塩水を加えます。
気温と湿度に代表される季候によって、微妙に塩水の濃度、加える水の分量は変えていきます。
基本は塩分濃度10%、加水50%ですが、夏場には濃度を高く・加水を少なく。冬場には濃度を低く・加水を多く。
作業を始めるともう塩分濃度は変えられませんが、手合わせすると必要な水の量がわかります。それによって加える塩水の分量を変えてやるのです。
水がしみわたると、白い小麦粉がだんだんとアイボリーに色を変え、小麦粉の香りが立ちのぼってきます。「あぁ、うどん食べたいっ!」といつも思う瞬間です。
熟成(1回目)
加水して小麦粉が小さな粒状になったところで1回目の熟成。この時点ではまだ足ふみや手こねをせず、小さな粒が集まったまま温度を保って2時間ほどおきます。
小麦粉の一粒ひとつぶに水がしっかりしみこみ、水を含んだ小麦粉の中のタンパク質がグルテンとしてしっかり育つように、ここではまだ圧力をかけずにおくのです。
足ふみ(1回目)
讃岐うどんの製法の代名詞とも言える、足踏み。しっかり1回目の熟成を行った後で3度に分けて行います。足ふみで圧力をかけることで生地を鍛え、コシのある麺ができるのです。ゆっくりと、足の裏全体からじんわりと力が伝わるようにやさしくふんでやります。
何度も折りたたんではふむことを繰り返すことで生地は何層も積み重なった状態になります。これも歯ごたえとコシを生み出すカギですね。
3度の足ふみの間には10分ほどの休憩をおいて生地を休ませます。生地を踏んで鍛えると、どんどん固くなっていきます。休ませることで生地の緊張をいったんほぐし、ほぐれたところでまた踏みます。踏み続けると単に固いだけのコシとは別の歯ごたえの麺になってしまうのです。
熟成(2回目)
3度にわけた足ふみでできあがった生地は、丸くまとめてさらに熟成。一晩ねかせます。ここでしっかり時間をおくことでまだ粗さがみえた生地がしっとりとなめらかな肌触りにかわります。足ふみ(2回目)
最後の足ふみ。さらにグルテンを鍛える、という意味もありますが、それよりも延しに向けて円盤形への成形という意味合いが強いでしょう。丸く、均一な厚さになるようにゆっくりとふみ、丸く伸ばしていきます。延し
木の台と麺棒で薄く、平らに大きくのばしていきます。この製麺所では一回の延しは15人前。水回しの加減で毎回違う生地の固さに合わせて、できあがりの食感を考えて微妙に厚さを変えてやります。でも、なかなか思い通りの仕上がりにならないのも事実です。カット
平らに延した生地をいよいよ麺線にカットしていきます。当製麺所の麺はやや太め、4.4ミリ幅を目安にしています。釜あげ麺を噛んだときの歯ごたえ、のどごしを考えて、この太さが一番楽しめるサイズかな、と思っています。完成
カットした麺線は、打ち粉をふってパックに。これで3人前のうどん生麺ができました。