ウェブ屋≒製麺所?

「これまでの仕事はもう辞めるの?」なんて時々たずねてもらえるので書いておこうと思う。

僕は株式会社Pathってウェブ屋をやってる。

1998年に、初めて勤めた会社を辞めてフリーランスになって、ウェブの企画や制作の仕事をやってきた。途中でまた会社勤めをしたり、個人事業主だったのを会社組織にしたり、ってこともあったけど、もう15年目になる。ウェブに関わり始めてからもう18年目だ。

これまでなんとかやってこれたのは、周りにいてくれたたくさんの人たちのおかげだと、最近ホントにつくづく感じる。クライアントの方々、一緒に仕事をしてくれる仲間、友人たち、そして家族。

みなさんに支えていただいて、今の僕とPathがある。そのおかげで新しい事業に挑戦できる。ウェブ屋の事業はこれまで通り、製麺所が始まっても変わらず続けるつもりだ。
クライアントのみなさま、いっしょに動いていただいているみなさま、これからもお仕事よろしくお願いいたします。

実は僕の中では、製麺所はこれまでやってきた仕事の延長、あるいは同じものって感覚も強くある。

受託でモノやサービスをつくるのと、自分で商品をつくるのと。もちろんそこには大きな違いはあるんだけれどね。

ただ、その感覚を文字にしようとすると、今はまだなんだかむつかしい。

製麺所が始められたら、そのあたりもちゃんと言葉にできるようになれるのかな、って思ってる。

イリコスキーがなりたいものは

この間、気がつくと僕が子どもころのうどんの話をたくさん書いてる。

僕が持ってるうどんのイメージとか、好きだって気持ちはやはりこの頃に持ってたものがずっと続いてるんだな、きっと。

もちろん僕の記憶の中にあるうどんやうどん屋を、イリコスキー製麺所で再現したいわけじゃない。それを再現したところで(できっこないけど)、その体験をお客さまに追体験してもらえることにはならないよね。

思った以上に僕の中に残ってる、楽しかった思い、幸せだった気持ちを少しでもいいからイリコスキーのうどんを召し上がった方に感じていただきたい。

あるいは、お客さまの楽しい、幸せな時間の中にたまたまイリコスキーのうどんがいることができれば。

そして、楽しかった、幸せだった気持ちを僕に教えてほしい。そんな思いで製麺所をやっていたいな。

イリコスキーのいりこだし

前にも書いたことがあった(やっぱり、いりこが好きだから)けれど、イリコスキー製麺所では手打ちうどんの生麺と、いりこだしを使ったつゆをセットにして販売しようとしてる。

近頃は、いりこだしのうどんが食べられるさぬきうどん店も増えてきた。けれども、通信販売じゃなかなか買えないんじゃないかな。
つけつゆもかけつゆも、どちらも濃縮タイプじゃないストレートつゆ。もちろん、化学調味料とかの添加物も使わない。
普通のうどん店で普通にめしあがれるようなつゆをお届けするつもり。

「なんでそんなにいりこだしが好きなの?」って時々聞かれることもあるけれど、こればかりは理屈で説明できない。うどんもみそ汁も、いつだっていりこだしだった。これまた子どもの頃から慣れ親しんだ味だから、というのはもちろん大きい。

いりこだしは、なんというのか、かつおだしのようなちょっと澄ましたのじゃなくって、気の置けないやつ、って印象がある。かといってサバ節みたいに実用一点張りでもない。
肩肘張らずに自分の持ち味だして、そして下品にならずに良い仕事するやつ、ってイメージかな。

いりこのサイズは、大きく小羽、中羽、大羽とあるんだけど、うどんにあうのは大羽かな。サイズ的には10cmを優に超えるものもある。それを一晩水につけておくだけで、それだけでもおいしいだしが出はじめる。

僕がとるいりこだしのポイントは、大きく二つ。沸騰させないこと、頭も腹わたもとらないこと。
沸騰させずに時間をかけてゆっくり煮出すことで、いやがる人の多いえぐみは出なくなる。
頭と腹わたをとっちゃうと、なんとなく薄っぺらくって、パンチもなくて、なんだか別物になってしまう。

いりこ、って聞くだけで「えーっ、いりこだし!?勘弁して!」って嫌がる方も少なからずいらっしゃるのは知っているけれど、できれば一度、おいしくとれたいりこだしを試してみて欲しいな。

さぬきうどんと、麺のコシと

さぬきうどんブーム(今は第四次ブームの後でセルフ店が定着した、って感じかな)のおかげで、今はさぬきうどん=コシのうどん、という認識になっていると思う。

ただ硬いだけの麺ではコシがあるとは言われない。適度な歯ごたえと弾力と、延びがあるものがコシのあるうどん、って言われるんだと思う。

それでも「グミ系」なんて表現のしかたもあるように、力強いどっしりしたコシから、やさしいふんわりしたコシまで、「コシ」が含む範囲は相当幅広い。コシのないうどんじゃないものがコシのあるうどんだ、って言いたくなるぐらいの。

ただ、実のところ、僕はさぬきうどんの絶対条件はコシだとは思っていない。

子どもの頃、食卓で出されるうどんの麺(親がスーパーや製麺所で買ってきてくれた麺)は、当然茹で麺。今みたいにビニールでひと玉ずつパックされたものじゃなくって、水で締めて玉にされたうどんがセイロに並べられてて、それを自分で袋に取る、っていう買い方だった。

茹でられてからかなり時間が経っているから、コシは基本的にない。だけど、小麦の味と塩味がする、とてもおいしい麺だった。

午前中に茹でられて、数時間たってるような麺を、夕方学校から帰ってしょうゆすらかけずにそのまま麺だけ食べて、それだけで幸せになれるような。

僕の中ではあれはさぬきうどんだった。

今でもスーパーで買っておいしいうどんの茹で麺はあるけど、絶対的に昔と今では味わいに壁があるような気がする。

香川県産小麦が昭和38年、壊滅状態になってしまって、基本オーストラリア産に代わったのが原因なのか。それともやはり子どもの頃の記憶だからなのか。

もちろん、イリコスキー製麺所の麺は、十分にコシが楽しめる麺のはず。だけど、それだけじゃ物足りない。

小麦の味とそれを引き立たせるほんの少しの塩を感じられる、そんな麺にできればな。

ロゴマーク&ロゴタイプ

グラフィックデザイナーのsanoemi+さんから昨日、ロゴ周りの提案。

うーん、すばらしい。ロゴタイプは2種のタッチにそれぞれ○○づかいと○○づかい。
ロゴマークも斬新な、でも力強いデザインが2種。こんなの見たことないや。そしてさらに※□△も…

あんな組み合わせやこんな組み合わせ、僕が予想していなかったものがあがってきた。これはうれしい。
商品パッケージにはこの組み合わせ、パンフレットにはこの使い方が合うよね。サイトに載せる写真にはこう使って…想像は広がるひろがる。

うーん、どう選ぼうか。どれも捨てがたい。

どれもずいぶん手が込んでるし、デザイナーのイリコスキー製麺所に対する思いと気遣いが感じられる。

この場ではまだ、みなさんにお見せできないのが残念。見たかった?
公開はもう少し先になるなぁ。

忙しい中、時間を作って、イリコスキー製麺所のために手とアタマと時間と気持ちを使ってくれている、sanoemi+さんに、心から感謝。

川の上のたらいうどん

夏になると懐かしくなるのが、徳島県は土成町のたらいうどん。
僕の実家から南へ、クルマで山を越えて小一時間。昔はトンネルがなかったからもっとずっと遠かったはず。

川の中、大きな岩がゴロゴロ転がっているその上に大きな、たぶん二畳ぶんぐらいだったと思う、板を渡して、そこで出されるたらいうどんを家族で囲む。

貴船の川床みたいに風流というわけじゃもちろんなくて野趣あふれる、という雰囲気。

たらいうどんは、釜あげだったか、冷やしだったか。炎天下、暑い中で食べてたから冷やしかな。大きなたらいうどんをみんなで食べるのが楽しいイベントだった。

最近は川の上じゃなくて川横に東屋を建てていてそこで食べるスタイルが多いけど、雰囲気は昔のほうがワクワク感はあったな。まぁ事故とかあると大変だろうけどね。
いや、それとも川の流れの風景と卓上のたらいうどんを、子どもの頭が勝手に合成したのか。

ここのだしは、ゴリみたいな小さな魚(じんぞく、っていうらしい)。少しくせがあって味も独特。この魚や沢蟹のからあげもおいしい。

そうか、子どもの時の記憶だから当然なんだけど、家族みんなで好きなものを食べる、ってやっぱり幸せなことだよね。

うどんミュージアム、ってサイトがあったよ。[browsershot url=”http://udon.mu/taraiudon” width=”200″]

[2012.08.13 追記]
土成町のたらいうどんをちゃんと知る友人から指摘(ありがとう)。
『たらいうどんは基本釜あげで、冷たいのは出ません。暑い夏に、熱いうどんです』
冷やしうどんだというのは僕の思い込みでした。

「職人さん」

コーナンで購入した作業ズボンは順調に汚れていってる。

今日は、クッションフロア貼り。製麺所だから、清潔に保てるように、負荷がかかっても傷つかないように、と病院でも使ってるような少しいい部材を選んだんだけど、これが難敵。家庭用のクッションフロアはなんども貼ったことがあるんだけど、それと比べて厚みが倍ぐらいある。すみません、ナメてました。

ちょっと大きめににカットしてー、仮置きしてー、接着材入れて-、余ったところをカットして-、ってやっていくと、一つひとつの作業が厚みと重さで大変。やろうとしたけどとうていムリだった。
とてもそんなやり方はできないから、セオリーは無視して自己流で貼ったけど、大丈夫かな?ほんとはちゃんとした業務用の作業工程があるんだろうな。

ところで、ここにも、いろんな営業さんがやってくる。
今日やってきたのは果物売りの男の子。心斎橋とかで、路上でパンや果物の入った箱を抱えて「パンどうですか?」「おいしいリンゴがあるんですけど」って話しかけられることはあったけど、ビルのテナントを個別訪問するとは知らなんだ。

ドアをノックされたから、「はい?」って応えたらドアを開けて入ってきたはいいものの、いかにも工事中の状況にちょっと「しもた!」って表情の彼。それでもひるまずに「あ、職人さん、休憩に桃いかがですか?」って。
いや、職人さん、そういうおやつは食べないんじゃないかな。しかも冷えてないし。

その後また宅配便で部材が届いて(今日貼ったフロア材)、これがえらく重かった。届けてくれた彼は、「スンマセン職人さん、重いんでちょっと手伝ってもらえます?」。自分が発注した荷物の搬入を手伝わされたのは初めてだ。まあいかにも工事してる、って格好だったからね。これがスーツ姿でも手伝わされたのかな?

今日は2人から職人さんと呼ばれて、わりとうれしがったりもしてる、僕。

本邦麺類店発祥の地

イリコスキー製麺所から西へ一本、なにわ筋を渡ったところにある新町南公園。ここにこんな碑がある。

ここに砂場ありき

はい、最初に見たときは砂場が閉鎖されちゃった記念碑なんだと思いました。子どもたちかわいそうに、でも大げさやなぁ、と。
公園の中には盆踊りのやぐらの準備が。

「ここに砂場ありき」。最初、意味がよくわからなかったのだけれど、大阪城築城にあたって、資材置き場とされていた土地なんだそうだ。砂を置いていたから砂場。

そしてものが集まるところには人が集まるということなのか、麺類を食べさせる店が日本で最初にここにできた、と。

砂場といえば蕎麦、この碑を昭和60年に建立したのも「大阪のそば店誕生四〇〇年を祝う会」だそうで、もっぱら蕎麦にまつわる碑ということになるけれど、そこはせっかく「麺類発祥の地」と大きく括っていただいているんだから、イリコスキー製麺所もこれにあやかろうというわけ。

碑の裏側

本邦麺類店発祥の地、とありますね。

物件を借りたあとでぶらぶら周辺を歩いていたらこの碑に行き当たって、そういえばここはそういう土地だったと思い出した。自分がこれから始めようという商売にちなんだ史跡がすぐ近くにある、というのはうれしいね。

さて、今日は介の字貼りで。

DIY二日目・ペンキ塗り(あれ?)

朝起きて、「アイタタ…」ってなったのは肩でも腕でもなくってやっぱり腰。
マッサージ行って、湿布貼って、そうやって寝ないとだめだったな。

昨日で天井のペンキも塗り終わったから、今後の部材の発注をすませた後で製麺所へ。

床貼りとクロス貼りの前に、三木さんが新たに作ってくれた壁にあるねじの頭をパテで埋めたり、床のちょっとした補修を今日はやろう。そう思って昨日の作業のためにつけていたマスキングのシートをはがしたら、あら。

その奥から、ペンキ塗りが必要なところが出てきてガクゼン。
窓枠、二カ所。これだけなら昨日やれたのにね。マスキングの前までは覚えてたのになぁ。ま、今の今まで思い出しもしなかったんだけど。

終わったって思った作業を再開するのはめんどくさい。まぁそんなに大きなところでもないしささっと。残念ながらローラーが使えるところではないのでハケで塗りぬり。ハケ跡も残って素人っぽい雰囲気になったけど、素人ですので。

今日はなんだか昨日の疲れが残ってるし、作業はちょっとだけ。マッサージ行って、湿布貼って、今日は早く寝よ!

DIY初日・天井ペンキ塗り

アトリエタンゴ建築工房・三木さんの大工仕事も昨日でほぼ完了、今日からは僕のDIYで内装の仕上げに。

元々の天井

ペンキを塗る前はこんな感じ。古い事務所によくある天井ですな。

今日からは天井のペンキ塗り。予定では2日、もしかしたら3日かかる?そうなるとあとの作業に影響がでるなー、なんて考えてたらなんと1日で終わっちゃった。

ペンキ塗りのローラー考えた人、えらい!あれがもしなくってハケでやってたら…いや、ぞっとするね。

ローラーにペンキをつけたら余計についた分はしっかりトレイで落として、っていうのがセオリーなんだと思うけど、今回塗装する天井は穴がデコボコに空いてるタイプ。ペンキもたくさん吸収するから、わりとたっぷりめに塗りつけた。そのやりかたが正しかったんだと思う。きっとデコボコ穴にいっぱい塗り残しがでるよな、その修正が大変だ…と予想してたけどそうでもなかった。

ペイント完了

塗った後はこんな感じ、だけど写真見てもよくわかりませんね。わりとうまくできたんじゃない?(自画自賛)

しかし、腕をずーっと上にあげたまま作業するのって、過酷。しかも脚立も登ったり降りたり。途中、脚立の上でふらついて何度もこけそうになった。芝居の仕込みよりしんどかったかも。

ペンキ缶

これを考えた人も、エライ!
この写真撮ろうとして、手についたペンキでデジカメが真っ白に。アホや。

今回感動したのがこのペンキ缶。普通はペンキをトレイに移してそこでローラーにペンキをつける。この缶は上部が斜めになっていて、しかもローラーが入るサイズの穴が空いてる。缶に直接ローラーを突っ込んで、缶の上でしごいてやればいい。つまりトレイ不要。

掃除をするものが減るのは助かる。このタイプ初めて見たんだけど、一般的なのかな?

早く終わったのはうれしい方向の計算違いだけど、他の部材の調達早めなきゃ。

しかし、腕と肩の筋肉がパンパン。帰りにマッサージにでも寄りたかったところだけど、顔がペンキだらけだったので今日は自粛。