日清食品の季刊誌に連載されていたものを書籍としてまとめられたのだと記憶してる。内容からいっても、まさに日清食品×国立民族学博物館という印象の書籍。
大学に行く前、文化人類学者になりたいなぁ、って興味を持っていて…いや、勉強しなかった人間がそういう言い方をするのはおこがましいな。文化人類学者ってかっこいいなぁ、って思ってた。僕の世代には、そういうの多かったんじゃないかな。
そういう気持ちを持っていてさらに麺好き、となるとこの書名を見ただけできっと買っちゃう。もちろん書名だけじゃなくて内容もさすがは石毛先生、世界中の麺類の発祥と文化を網羅してる。書籍にするには限りがあるから、ということで泣くなく掲載できなかったものもあるようだけど、圧倒的なボリュームだ。
「ことはじめ」という書名をつけるだけあって推論だったりちょっと強引?という部分も大いにあるけれど、めくるめく麺ワールド、という雰囲気。麺っていったい何だ?麺の起源は?世界の麺の製造法や調理法、などなど。
ただ残念ながら、うどんについてはほとんど触れられない。日本の麺についても一章割かれてはいるけれど、ほぼそうめんと蕎麦という印象だったかな。そうめんは練った小麦粉を引き延ばす形態の麺、蕎麦は切り麺の出現としての言及。
麺類全般好きだけど、うどんが特に好き、という人間にとってはちょっと寂しいけれど、日本の麺の起源と文化を探るというこの書籍の立ち位置からするとこうなるのかな。
この書籍、現在は絶版になっていて、講談社学術文庫から「麺の文化史(リンクはアマゾンアソシエイト)」として発売されているようだ。続編もあった気がするのだけれど、よく覚えてない。
読み物としておもしろいか、って言われるとちょっと疑問なところはあるけれど麺の世界に興味がある人には楽しめるはず。