イリコスキー製麺所 所長のブログ

うどん作りはかんたん?難しい?(2つのポイント)

うどん作り体験教室に来ていただいたお客様全員に尋ねる。「うどん、作ったことありますか?」

自宅でやってみた、林間学校で作って食べた、保育園で作った、うどん作りの観光施設に行った。こういう方が、感覚的に2割ぐらい。

想像よりもずいぶん多いんだな、という印象がある。もちろん、わざわざウチに来てくれる時点でうどんに対する思い入れは強いのかもしれないけれど。

そのうち6割ぐらいの人がうどん作り観光施設。こんぴらさんの境内や高松市にある中野うどん学校に行ったよ、という人が圧倒的に多くて、その次に林間学校や保育園。ご自宅で打った、という方が少し。

中野うどん学校は、現地で食べる分は機械でつくった生地から始めるのでうどん作りのハードルは少し下がる。
林間学校や保育園で作るときはきっと教えてくれる人がいるんだろう、みんな「美味しかった!」らしい。

自宅で作った人に聞くと、成功率は5割ぐらい。半分ぐらいの人は「失敗しました」、のこり2割ぐらいの人も「う~ん…って感じでした(笑」みたいな返事になっちゃう。
みなさん料理のテキストやYouTubeを見てやるみたいだけれど、独力で生地を作るのはちょっとむずかしい、らしいんだな。

そこで、体験教室にお越しになった方の体験談や作っている様子を拝見して、きっとここでつまずくor失敗しちゃうパターンが多いのでは?というポイントを2つ。

■POINT1 『小麦粉と塩水を合わせるときは、できるだけ大きなボウルを使って。こねずにまぜる、均一に。』

小麦粉に塩水を入れる、というと「こねる」ことを連想する場合が多いんだけれども、出発点はこねる、のではなく「混ぜる」こと。ウチでは水あわせという呼び方をする。
こねはまた後の工程になる。

できるだけ全体同じ状態になるように小麦粉と塩水を混ぜ合わせるのが最大のポイント。これがうどんのしあがりを左右する。一番最初の工程がもっとも大切。

小さなボウルで混ぜようとするとどうしてもダマができちゃう。家庭にある大きめのボウルはきっと直径30cm前後。そのサイズだと、はじめてのうどん作りなら最大2食分(小麦粉200g)が適切なサイズだろう。
それ以上の分量を作るとどうしても大きなダマ、かたまりが最初にできてしまって、混ぜても混ぜても均一にならない。

イリコスキー製麺所の体験教室では4食分400gの小麦粉を使うけれども、その時のボウルは36cm。これが5食分になると少し難しくなる。10食分はまずムリだ。

さっきも書いたとおり、ポイントは均一に混ぜること。手のひらを使って力を加えてこねたりはしない。
指を立てて全ての指を使ってミキサーのように、小麦粉と塩水をかき混ぜる。ボウルの直径が大きければ大きいほど、ボウルの底にある小麦粉の厚さが薄くてうまくいく。小さな直径のものだと小麦粉が厚くたまっていてダマになりやすい。

均一にまざるとはどういうことか。
小麦粉と塩水がまざった生地の元が、小さなパン粉みたいにそぼろ状になっていること。小さなかたまりだと塩水が分散して小麦粉の中に散りばめられることになる。大きなかたまりには、塩水が偏在している。まったく塩水を含んでいない小麦粉と、塩水だらけのべちゃべちゃな小麦粉が存在することになる。

小さなボウルしかない場合、それを避けるために塩水を最初から全部いれずに少しずつ足していくという方法もある。これでもまずまずうまくいくこともあるけれど、やっぱりダマはできやすい。

おいしいうどん作りをしたいなら、最初の機材は百均とかでプラスチックのたらい(大きな洗面器でも良いかもしれない)をまず購入するのがオススメ。

■POINT2 『うどんは茹でると倍近くに膨れ上がる、ことを忘れない』

さっき書いた水合わせは最初の工程だったけど、これは最後の工程。生地を伸ばすときと切るときと。

うどん大好きなみなさんは、いつも食べているうどんの太さが頭の中にあるから、どうしてもそのサイズに生麺を作ってしまう。
生麺は、お湯で茹でると、倍ぐらいのイメージ太さになる。茹でてる途中から、うわ、と驚くほどの太さになっちゃう。

うどんの乾麺って細いのに、茹であげると水分を含んですっかり普通のうどんの太さになってる。生麺はそこまでじゃないけどかな~り太くなる。

こんなに細くっていいの?って思うぐらいのサイズで十分。
数字でいうと、伸ばし終わった生地の厚さも包丁で切った麺の太さも、どちらも4mmが目標。

ただ、「4mm」って大きさ自体も実はなかなか把握できないのでそこにも注意。
きっと、教室で見本を見せずに、4mmに切ってください、っていうと1cm近くになっちゃうと思う。5本ならべて1円玉の直径とおんなじだから結構細いんだ。
伸ばした生地を切って麺にする前にも、真ん中で半分に割ってみて厚さを測ってみるのもいいと思う。

太く仕上がったうどんは、いくら茹でてもお湯が芯まで届かずにごわごわのまんま。「讃岐うどんだからコシがあるの。これでいいんだよ!」という意見もあるかと思うけど、コシとはまた別。たんに生茹でなだけ。

切り始めは、きっと太くなっちゃってがんばって細く切ってるのにあれ?こんな太さ?ってことが続くと思う。
切り進めるうちに慣れてきて、ようやく良い太さでリズミカルに切れるようになったと思ったらもう全部切っちゃってた…っていうのもよくある話。
これはもう慣れと経験の世界なので、何度か作ってみてチャレンジしてみて。

切り始めにできた極太のうどん、これもしっかり茹でれば美味しいんだけど、たとえば5cmの長さに切って、茹でずに油でゆっくり揚げると塩味の残ったおいしいスナックになる。これはわりとクセになる美味しさなので、ぜひ試してみてほしい。

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